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活動報告

平成23年6月定例会

桜本:
私は、新会派、希望の立場から、本定例県議会に提出されました案件並びに県政一般につきまして質問をいたします。
私は、去る四月の県議会議員選挙におきまして、地域の皆様方から温かい御支援をいただき、初当選させていただきました。この場をおかりいたしまして、改めて心より御礼申し上げます。
前回の選挙では、私の力不足により、県政の場で活躍するという思いはかないませんでしたが、市議会議員時代より抱いております山梨県の発展に貢献したいという熱い思いは、さらに強いものとなりました。
今回、県政で活躍する場を皆様方からいただきましたことを感謝すると同時に、その責任の重さを痛感しております。
私は、選挙公約の中で、議員報酬とは別に交付されている政務調査費、海外視察費を受け取らないと訴えてきました。その公約を実現するため、私個人に支給される政務調査費の辞退届を5月1日に議長あてに提出したところでございます。
また、会派に支給される政務調査費のうち、私個人に係る算定上の相当額は、これを使用しないことといたします。
さらに、海外視察費につきましても、公費を充てることは一切いたしません。
このように、私は、政務調査費と公費による海外視察を辞退した上で、議員報酬の中から調査研究活動費を捻出し、議員としての能力を高めていくことを宣言いたします。
今こそ、政治家みずからが身を削ることが必要であり、県民の皆様方の視点に立った活動が求められています。私の政治理念である「わかる政治 みえる議会」づくりを力強く進めていく所存でございます。
ここで、新会派、希望について触れさせていただきます。
私たちは、横内知事がマニフェストで述べられた「山梨は、今後大きく発展する可能性を秘めており、山梨の可能性の芽、すなわち、山梨の芽は本県の至るところにある」という言葉に共感し、同じ志を持つ2人で新しい会派、希望を結成いたしました。
本県には、豊富な水や太陽光、富士山、南アルプス山麓など自然豊かな観光資源、生産量日本一の桃やぶどうなど、数え切れないほどの山梨の芽があります。それらをいかに育て、大きな成果として実らせていくのか、横内知事とともに、施策の実現に貢献したいと思っております。
また県民の皆様は、「暮らしやすさ日本一」の山梨県が実現すると同時に、自分たちの暮らしも豊かになるという希望があればこそ、日々の生活の原動力になるはずです。
ドイツの神学者マルティン・ルターの言葉にもあります。「この世を動かす力は希望である。やがて成長して果実が得られるという希望がなければ、農夫は畑に種をまかない」
私どもの会派、希望は、微力ではありますが、本県発展のためになくてはならない存在となるよう、誠心誠意取り組んでまいります。

では、以下質問に入らさせていただきます。

まず初めに、防災対策について、お伺いいたします。
浜岡原子力発電所の運転停止についてであります。
皆様も御存じのとおり、国は中部電力に対して、地震発生に伴う大規模な津波襲来の切迫性と、津波による今回の事故を踏まえ、浜岡原発には一層の安心のための措置が必要と判断し、防潮堤設置や原子炉建屋の水密化工事などの中長期対策を完了するまでの間、すべての原子炉の運転を停止することを5月6日に求め、中部電力もこれに応じました。県は、県南部から約70キロメートルの距離にある浜岡原発の運転停止について、どう受けとめているのか、お伺いいたします。

次に、消防防災航空基地の機能強化についてであります。
東日本大震災においては、陸上での救援活動が思うように進まない中にあって、ヘリコプターは、情報収集、人命救助や救援物資の搬送など、さまざまな面で活躍いたしました。
本県においては、津波の心配はないものの、県土の約8割が森林であることを考えると、大規模な地震や風水害が発生した場合には、集落の孤立化はもとより、本県全体が陸の孤島になるおそれがあります。このような場合に、他県からのヘリコプターによる応援が必要不可欠であり、応援機の集結や活動の拠点となる消防防災航空基地の整備は喫緊の課題であります。
東海地震の切迫性が指摘される中、消防防災航空基地の一刻も早い整備が望まれますが、県では、消防防災航空基地の機能強化や整備を今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。
次に、大規模災害に備えた生活必需品の備蓄についてであります。
大規模な災害が発生すると、災害復旧までの数日間に備えて、各家庭もしくは市町村には最低3日分の備蓄が必要と言われています。
今回の大震災では、燃料の供給や生活必需品の確保に時間を要し、いまだに避難者の生活は大変厳しい状況と聞いております。
本来、避難者の生活の確保や避難所の運営は市町村が行いますが、その市町村の業務の実施を助ける責務を有する県としては、今回の震災を踏まえ、燃料を初めとした生活必需品の確保にどのように取り組んでいくのでしょうか、所見をお伺いいたします。

次に、東海地震を想定した応急仮設住宅の供給についてでございます。
このたびの大震災では、被災者の生活の再建の第一歩となる応急仮設住宅の供給が、用地が足りないなどの理由により、おくれていることが問題となっております。
そこで、これから30年以内にマグニチュード8程度の地震が発生する可能性が87%と言われている東海地震に対して、山梨県における応急仮設住宅の必要戸数や、用地の確保の状況はどうなっているのか。また、仮設住宅を速やかに供給するためには、県内のプレハブ業界、建設業界との連携を図ることも必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

次に、特別養護老人ホームの多床室の整備について、お伺いをいたします。
特別養護老人ホームの待機者解消対策についてであります。
高齢化が一層進む社会の中で、多くの高齢者は、介護が必要な状態になっても、自分が住みなれた住宅での暮らしを望んでいる現実があります。
まして、持ち家率の高い本県におきましては、その傾向は強いのではないでしょうか。
しかしながら、自宅で暮らし続けられないひとり暮しの高齢者や、高齢者夫婦世帯が増加するとともに、認知症高齢者の増加、家庭の介護力の低下などを考えますと、ますます特別養護老人ホームなどの施設も重要な役割を果たしていくと考えております。
特別養護老人ホームの申込者は6,000人を超えているという実態の中で、施設に入所したくてもできない待機者が多数おり、今後もこの数は増加することが予想されます。
特別養護老人ホームの待機者解消のため、どのような対策を講じていくのか、まずお伺いをいたします。

次に、多床室の整備についてであります。
特別養護老人ホームに入所する場合の必要経費は、多床室であれば、介護保険料、食費、光熱水費で8万円程度であるにもかかわらず、ユニット型個室の場合にはこれに居住費が加わって、13万円以上が必要となります。
このような状況から、経済的に余裕のない方にとっては、必要経費が高く、ユニット型個室では入れないという声や、ユニット型個室よりも多床室の方が、にぎやかで楽しくいられるという声なども、県民の多くの皆様方から伺っているところでございます。こうした声にこたえるためにも、多床室の整備を推進する必要があると考えております。
県では、現在、ユニット型個室を基本とした整備を進めていますが、必要経費の軽減に効果が大きい多床室の整備について、どのように考えているのか、お伺いをいたします。
次に、中長期的な介護需要の高まりへの対応についてでございます。
いわゆる団塊の世代が高齢者となり、特別養護老人ホームを含む介護ニーズは、飛躍的に高まると考えられますが、介護施設の整備には時間もかかり、今後、十分な対応が行われていくか不安な面もあります。
このような中長期的な介護需要の高まりに対応するために、今後どのような対策を講じていくのか、考えをお伺いいたします。

次に、南アルプスインターチェンジ周辺のインランドデポ設置の可能性について、お伺いをいたします。
平成20年度の全国輸出入コンテナ貨物流動調査によると、山梨県からの国際海上コンテナの利用港は、輸出入とも東京港が第1位、横浜港が第2位、距離の近い清水港の利用は第3位という結果になっております。
これは、寄港する船の便数や海上運賃の格差の問題もあると思われますが、時間距離で見た場合、清水港にそれほどメリットがないということも一因だと考えられます。
しかし、中部横断自動車道の開通により、清水港の距離的優位性は高まり、国際物流面での価値は格段に上がるものと考えられます。
例えば、現在は南アルプスインターチェンジ付近から清水港まで約80キロメートルの距離を150分かかっておりますが、中部横断自動車道を利用すれば60分と、90分も短縮されます。東京港まで140キロメートル、横浜港まで130キロメートルの距離があり、道路状況の不安定さから、現行で高速道路を利用しても、150分から180分程度かかっていることを考えますと、清水港の優位性が生まれてまいります。
同時に、この中部横断自動車道の開通は、静岡県の富士山静岡空港とのアクセスの面でも効果があります。現在、南アルプス市内から180分かかっているものが、半分の90分へと短縮されます。
現在、山梨県の人と物の流れは、そのほとんどが成田、羽田空港の利用となっておりますが、韓国、中国といった国際便も就航しています富士山静岡空港を利用することで、時間的にもコスト的にもメリットある動線が期待できると考えております。
また、同自動車道の全面開通により、東アジアに近接する日本海側へのアクセスも飛躍的に向上することとなります。
このため、県内に、外国貨物を関税や消費税を徴収しないままおくことができる内陸型の国際物流基地、いわゆるインランドデポを設置することで、山梨県、長野県を中心としたエリアの輸出入貨物が集まり、国際物流ネットワーク網の中継基地となり、本県産業界が発展するものと考えられます。
同時に、県内近隣企業の物流費の削減、新たな企業誘致と雇用創出の可能性の面でも大いに効果があると考えますが、南アルプスインターチェンジ周辺へのインランドデポ設置の可能性について、御所見をお伺いいたします。

次に、農地の利用集積制度と果樹の品種開発について、お伺いをいたします。
農地の利用集積制度についてであります。
近年、山間の急傾斜地ばかりでなく、平地においても耕作が放棄され、荒れていく農地を見かけるようになってきました。この背景には、耕作できなくなった農家からの農地の流動化が思うように進まないことに原因があるのではないでしょうか。
このような中、一昨年、農業経営基盤強化促進法等が改正され、一般の法人やJAも、農地を借りて農業ができることとされたほか、効率的な農地利用が図られるよう、農地を面的にまとめる仕組みが創設されたところでございます。
そこで、県としても、農地の利用集積について取り組みを強化していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

次に、品種開発の取り組みと普及推進についてであります。
農地の利用集積制度とともに、本県農業にとって重要な課題として、新品種の導入が上げられます。
昨日の高木議員による関連質問の答弁において、松村農政部長から、「スモモの「サマービュート」「サマーエンジェル」や、オウトウの「富士あかね」など、果樹試験場において育成された品種であり、新品種として栽培面積がふえ、出荷も始まっている」との答弁がありましたが、大変喜ばしいことだと思います。
本県農業は、生産額のその半数を果実が占める果樹王国として発展してきましたが、外国産の輸入果実や国内のライバル産地に打ち勝つためには、本県ならではのやまなしブランドとなる品種を次々に開発し、その地位を確固たるものとしていくことが、極めて重要と考えております。
そこで、県では、現在、どのような品種の開発に取り組み、また開発した優良品種については、農家に対し、どのように普及推進していくのか、お伺いいたします。

次に、鳥獣害対策について、お伺いいたします。
電気さくの普及推進についてであります。
中山間地域における野生鳥獣による農作物被害は、農業生産量の減少や耕作放棄地の拡大など、地域の活力減退につながる大きな問題となっております。最近では、野生鳥獣の里地里山への定着、都市地域への出没など、人と野生鳥獣の関係も年々深刻化しております。
私が住む南アルプス市内においても、山間部では、野生鳥獣による被害のため、営農意欲をなくされる方も多く出てきているのが現状でございます。
野生鳥獣のうち、特にニホンザルについては、平成18年に県が行った生息実態調査において、県内生息数は、約70の群れ、3,500頭から4,000頭と推定されています。中でも、県西部の南アルプス山系には、その半数を超える40の群れ2,000頭が生息するとされ、その生息域はいまだ拡大しております。
このような中、野生鳥獣による被害防止対策は、極めて重要な課題であり、鳥獣害対策として、最近では、従来の2割のコストで多獣害に対応し、個人としても導入しやすい電気さくが開発されていると聞いております。こうした効果的な電気さくの設置を普及推進するには、設置方法の講習会の開催など、地域住民に目に見える形でわかりやすく紹介する取り組みが重要であると考えますが、県の考え方をお伺いいたします。

次に、集落全体の農作物被害防止対策についてであります。
モンキードッグのような新たな手法も育ちつつあるようですが、このモンキードッグとしては、旧芦安村が原産の甲斐犬が一番ではないでしょうか。甲斐犬は狩猟犬として勇猛果敢にサルやイノシシを追い払ってくれるはずです。
甲斐犬については、今後、モンキードッグとして活用していただくことを期待しておりますが、このような新たな手法を導入し、その効果を持続させるには、設置後の保守管理や追い払いなど、集落全体としての取り組みが必要と考えますが、県として農作物被害防止対策にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

次に、クリーンエネルギーへの取り組みについて、お伺いをいたします。
米倉山を活用したPR施設についてであります。
さきの大震災により、福島第一原子力発電所などの電力設備が甚大な被害を受け、多くの住民等が極めて深刻な状況に置かれたことから、原子力発電を見直し、太陽光発電を初めとするクリーンエネルギーを積極的に推進しようという機運が高まっております。
こうした中、県は、東京電力と共同して整備を進めている米倉山の大規模太陽光発電所について、この9月を目途に、試験運転による発電を開始できるよう工事を進めていくこととしており、時宜を得た対応であると高く評価するところでございます。
また、この太陽光発電所に併設したPR施設を整備する工事に、今月から着手しているとお伺いしました。
私といたしましては、このPR施設が、クリーンエネルギー先進県やまなしの取り組みの中で、クリーンエネルギーの普及促進を全国に先駆けてリードする施設となるよう期待するところですが、具体的な整備の内容について、お伺いをいたします。

次に、電力貯蔵技術の研究についてであります。
太陽光発電などクリーンエネルギーの一層の導入促進を図るためには、天候などの自然条件により、大きく変動する発電量を安定化させる技術の確立が必要とされています。
その新たな一歩として、県では先般、公益財団法人鉄道総合技術研究所と、超電導等を用いた電力貯蔵技術の研究の推進に関する協定を締結し、本県に技術の蓄積がある超電導や水素等を用いた電力貯蔵技術の研究を推進していくと発表しましたが、今後どのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。

以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
横内知事:
桜本議員の御質問にお答えをいたします。
ただいまは、御質問に先立ちまして、私とともに、山梨の芽を大きな成果として結実させていくとの力強いお言葉をいただきました。
今後も、県民が将来に希望を持っていただけるように、全力で取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。

初めに、浜岡原子力発電所の運転停止についての御質問がございました。
東海地震の切迫性が指摘されているという状況の中で、本県の県境まで70キロメートル、甲府まで120キロメートルの位置にある浜岡原子力発電所は、その構造とか立地などから見まして、福島第一原子力発電所と同様のリスクがあると言われております。
過日、国は中部電力に対しまして、浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を要請し、中部電力がこれを受諾したことにつきましては、国民の安全・安心を最優先にした判断であり、評価するものであります。
今後、再稼働する場合には、福島原発事故を教訓として、安全基準の見直しなどをしっかりと行っていただき、地域住民や関係自治体等の理解を得ていくことが必要であると考えております。

次に、特別養護老人ホームの待機者解消対策についての御質問であります。
特別養護老人ホームの入所申込者のうち、入所の必要度が特に高いと認められる在宅で要介護4ないし5の方というのは、昨年4月現在で1,179人となっておりますけれども、本年度末までの計画では、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなどの整備によりまして、923人の利用が可能になる見込みであります。
今後、施設入所希望者の増加が見込まれる中で、待機者を減らしていくためには、まず保険者である市町村が、適切な整備量を市町村介護保険事業計画に位置づけていただくことが必要であります。
本年度は、平成24四年度から26年度までの第五期計画の策定年度でありますので、市町村に対しまして、施設不足の状況に的確に対応した計画を策定するように働きかけるなどいたしまして、計画的な整備を促進していきたいと考えております。

次に、中長期的な介護需要の高まりへの対応についての御質問であります。
御指摘のように、今後、介護ニーズはさらに高まっていくものと見られるわけでありますが、多くの高齢者は、介護が必要になっても、住みなれた在宅での生活を希望しておりますので、これをかなえていくために、施設サービスに比べて整備がおくれている在宅サービスを充実させていく必要があると考えます。
このため、国では、医療や介護などの各種のサービスが、地域の中で切れ目なく提供される仕組みである地域包括ケアシステムの構築を進めようとしております。
県でも、この地域包括ケアシステムの推進を図るために、施設サービスの充実とあわせまして、在宅であっても、施設と同様な安心感が提供できるような取り組みを進めまして、高齢者がみずからの意思でサービスを選択できるような環境を整えていきたいと考えております。

次に、南アルプスインターチェンジ周辺へのインランドデポ設置の可能性についての御質問であります。
本県は、中部横断自動車道の全線開通後は、御指摘のように清水港や富士山静岡空港へのアクセスが飛躍的に改善され、また、首都圏と中京圏を結ぶ横のラインと太平洋、日本海を結ぶ縦のラインのクロスポイントに位置するということになりますので、この立地条件の強みを物流にも生かすことが必要であることは御指摘のとおりであります。
このため、県では平成19年度に、有識者や物流事業者、税関職員などで構成いたします物流対策研究会をつくりまして、本県の物流の動向とか中部横断自動車道沿線地域の物流拠点の方向性について、研究してまいりました。
研究会の報告では、沿線地域に国際物流拠点形成の可能があるとしており、またインランドデポについては、内陸保税蔵置場と言われる関税法上の施設で、内陸部で通関手続ができる上、外国貨物を関税等を徴収しないまま保管することが可能になるなどのメリットがありますので、輸送・物流上の効率化を高める可能性が高いとしております。
今後は、中部横断自動車道の全線開通を見据えて、荷主や県内の立地企業など物流を利用する側の需要とか意向を把握するとともに、長野県、群馬県などにはインランドデポがありますので、こういった内陸県の設置事例を参照しながら、引き続き研究を進めていきたいと考えております。

次に、農地の利用集積制度についての御質問がございました。
今回、農業経営基盤強化促進法という法律が改正されたわけでありますが、これによりまして、JAがみずから営農することができるようになりました。同時にまた、農地の貸借を仲介する新たな公的機関として、農地利用集積円滑化団体を市町村単位に設置する仕組みが創設されたところであります。
これによりまして、現在、2つのJAで、高齢化などで耕作できなくなった農地を引き受けて、県はこれに機械整備の支援を行っておりますけれども、そうした支援を受けながら、みずから営農を農協組織が開始しております。
また、円滑化団体の設立につきましては、これまで県内に9団体が設立されておりますけれども、本年度じゅうには大半の市町村で円滑化団体が設置できる予定でございます。
このほか、県では、賃借意向調査に基づく農地の情報を希望者に迅速に提供できる体制も整備することにしておりまして、今後、各種制度を活用して、農地の利用集積に市町村と連携しながら鋭意取り組んでいきたいと考えております。

最後に、集落全体での農作物被害防止対策についての御質問でございます。
野生鳥獣による被害防止対策の効果を上げていくためには、その対策を地域住民が一緒になって取り組んでいくということが大事であります。県ではこれまでも、防護さくの周辺の除草活動とか、あるいは追い払い活動など、集落が一緒になって、一体になって鳥獣害対策を市町村と連携しながら、積極的にそうした鳥獣害対策を進めるように支援してまいりました。
このうち、モンキードッグを活用した追い払い活動に対しましても、現在、6地区で支援を行っておりますけれども、そのうち3地区では甲斐犬が用いられております。
農家の高齢化が進む今後は、活動を継続して進めていく上で、集落の取り組みの推進役になる人材が、従来以上に求められてまいります。このため、県では、集落の鳥獣害対策のリーダーを養成する事業を本年度新たに始めたところでありまして、今後も、これらの取り組みを通じて、集落単位での被害防止対策の一層の推進を図っていきたいと考えております。
中澤公営企業管理者:
桜本議員のクリーンエネルギーへの取り組みについての御質問にお答えします。
まず、米倉山を活用したPR施設についてであります。
米倉山に現在整備を進めておりますPR施設につきましては、本県の環境施策や再生可能エネルギーの仕組み等について、球体スクリーンなど最新の映像装置や展示パネルで紹介するとともに、太陽光発電、小水力発電、燃料電池等の機器を設置し、その稼働状況を展示するなど、楽しみながら学び、体験できる施設となるよう整備を進めてまいります。
また、館内の電力を自前の再生可能エネルギーで賄うほか、地熱ヒートポンプなどを利用した冷暖房装置を導入し、CO2ゼロを目指した施設運営を行ってまいります。
こうした展示や運営を行うことによりまして、地球温暖化などの環境学習の場とするとともに、次世代エネルギーの情報発信の拠点として活用し、クリーンエネルギー先進県やまなしを全国にアピールしてまいりたいと考えております。

次に、電力貯蔵技術の研究についてであります。
県では、先般、日本を代表する超電導の研究機関で、山梨リニア実験線を通じて本県とかかわりが深い鉄道総合技術研究所と協定を締結し、電力貯蔵技術の調査・研究や、超電導関連技術の情報発信などに連携して取り組むことといたしました。
今後につきましては、本年7月に有識者による委員会を設置し、研究の推進に向けた基本計画を年内を目途に策定するとともに、平成25年度から始まる見通しの国の電力貯蔵技術に関する実証試験の研究拠点誘致を目指してまいります。
また、明年度以降、研究会やシンポジウムを開催し、県内外の企業の技術交流や情報発信などにも努めてまいりたいと考えています。
田中総務部長:
まず、消防防災航空基地の機能強化についてであります。
東海地震などの大規模災害を想定いたしますと、山間地域の多い本県では、孤立集落の発生が懸念されることから、県といたしまして、広域航空応援隊などの受け入れ態勢を早急に構築することが必要であると考えております。
しかしながら、本県の消防防災ヘリポートは、民間所有の非公共用ヘリポートでございまして、全国で最も不安定な運営形態でございます。
このため、山梨県消防防災航空基地検討懇話会の提言を踏まえまして、消防防災航空基地機能の抜本的な強化に向けました基礎調査を実施いたしまして、整備内容や規模などの検討を加えて、明年2月を目途に整備方針を策定してまいりたいと考えております。

次に、大規模災害に備えました生活必需品の備蓄についてでございます。
大規模災害時には、交通の途絶などによりまして、飲料水や食料品を初めといたしました生活必需物資の流通が停止することから、応急復旧までの間の生活を維持するためには、まずは自分の身は自分で守るということを基本といたしまして、県民みずからが日ごろから備蓄をしていただくということが重要であります。
このため、県といたしましては「わが家の防災チェックシート」という、災害発生時にどういう備えをするかというようなチェックシートを全戸配付いたしますとか、県のホームページなどによりまして、県民意識の高揚に努めてまいります。
また、市町村におきましては、飲料水などの生活必需物資を確保するための耐震性貯水槽や備蓄倉庫の整備を進めていますが、県として、これに助成しているところでございます。
さらに、市町村の備蓄を補完するため、県におきましても、毛布、ブルーシート、簡易トイレなどの生活必需物資の備蓄の充実に努めております。
今後とも、県として民間事業者との物資調達協定の拡大を図るとともに、大規模災害に備えまして、災害時に必要となる生活必需物資の充実・確保に努めてまいります。
なお、生活のために必要となる燃料につきましては、家庭における備蓄に限界がございます。今回の震災でも問題になったという教訓を踏まえまして、国において適切な措置を講じるよう要請してまいりたいと考えております。
古屋福祉保健部長:
桜本議員の多床室の整備推進についての御質問にお答えいたします。
県におきましては、現在、施設においても、在宅に近い少人数の家庭的な環境の中で、利用者のプライバシーが確保され、また、認知症高齢者にも有効とされておりますユニットケアを推進するために、ユニット型個室の整備を促進しております。
整備の推進に当たりましては、所得によってユニット型個室の利用が制限されることがないよう、入所経費の軽減措置が講じられ、さらに、利用者の収入が著しく減少するなどの特別な経済状態になった場合には、1割の利用料に相当する額を保険者が減免できることになっております。
他方、本県の多床室の整備割合は、現状におきまして約66%となっており、多床室への入所希望にも対応が可能な状況となっております。
このようなことから、今後も引き続きユニット型個室の整備を基本としてまいりますが、特別養護老人ホームの改築に際しましては、定員の最大3割まで多床室の整備を認めるなど、多床室を希望する高齢者の実情にも配慮してまいります。
松村農政部長:
まず、品種開発の取り組みと普及推進についてであります。
全国に誇る果樹王国やまなしの地位を今後も不動なものとするために、県におきましては、果樹試験場で消費者ニーズなどの変化を的確にとらえた山梨県独自の新しいオリジナル品種を順次、開発していくことにしております。
最近では、高値で販売できる8月のお盆前に出荷することが可能な上、大粒で着色にもすぐれていることから、生産者からも高い期待が寄せられているぶどうの「甲斐のくろまる」という品種を開発いたしました。
また、これら開発した品種につきましては、関係者で構成する県オリジナル品種ブランド化推進会議において、普及を推進し、早期の産地化を目指していきたいと考えております。

次に、電気さくの普及推進についてであります。
鳥獣による農作物への被害防止対策は、県におきましても急務の課題として認識しています。
現在、被害地域への侵入防止さくの整備を計画的に進めておりますけれども、県内には、点在する小規模農地など、大規模なさくの整備が困難な地域も存在しており、これらの地域には、県が昨年度開発した、従来の2割のコストで簡易に設置できる電気さく「獣塀くんライト」という電気さくの普及に努めることとしております。
具体的には、本年度、各地域で被害防止の指導に当たる市町村などの職員を対象にした講習会を開催するとともに、農務事務所ごとにモデル圃場を設置して、その効果を農家の方に直接見てもらうことにしております。
酒谷県土整備部長:
東海地震を想定した応急仮設住宅の供給についての御質問にお答えいたします。

応急仮設住宅は、被災者の居住の安定を図るために重要な役割を果たすものであります。
まず、必要戸数につきましては、平成17年の東海地震被害想定調査に基づき、5,868戸としております。また、建設用地につきましては、現在、167カ所、12,343戸分の用地を確保しており、必要戸数を満たしている状況にあります。

次に、地元業者との連携についてであります。現状では、応急仮設住宅は、社団法人プレハブ建築協会との協定に基づき、迅速に供給することとしております。しかし、より速やかにきめ細かく対応するためには、地元業者の協力を得ることも必要と考えますので、東日本大震災の状況を参考に、今後、連携のあり方を検討してまいりたいと考えております。
桜本:
南アルプスインターチェンジ周辺のインランドデポの設置ということで、この地域は過去、大きいスーパー、あるいはアウトレットモールというような幾つもの大きいお話があったところでありますが、具体的に今、行政の中にあげられるという経緯はございませんでした。しかしながら、この地域の数多くの地権者も一致協力しながら、次の段階に進んでいきたいというようなことを考えている地域でございます。
その中で、今、政治としては命を守る。皆様方の財産を守る。そして、安心・安全な生活を守る。そして何と言ってもこの時代、雇用の創出、働く場所の確保ということを考えますと、この中部横断自動車道の沿線というものは、まさに開通の暁には企業の誘致と物流拠点というような新たな、この地域にはない、そしてこのエリアにはない、そういった可能性があるインランドデポの設置に関して、行政のもう少し具体的な取り組みについて、再度お伺いをしていきたいと思います。
新津産業労働部長:
インランドデポの設置の可能性につきましては、先ほど知事からお答えしましたとおり、これまで県では、有識者で構成いたします物流対策研究会において、検討してまいったところでございます。
繰り返しになりますが、本年度は、県内の輸出企業など利用する側の需要や意向を把握するとともに、近隣の具体的な事例を調査・研究することといたしております。
また、内陸型の近隣の設置事例をまた参照していくということでございますけれども、ほとんどが民営あるいは民間活力を導入したものでございます。このインランドデポの設置ということに関しまして、そうした民間企業を誘致していくのか。また、組合などをつくって進めていくのかなどについても、研究会の場におきまして、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
桜本:
特別養護老人ホームの多床室整備について、再質問をいたします。
時代が非常に厳しい中、両親のため、あるいはおじいちゃんおばあちゃんのために入所費用を一部負担するという家庭が少なくなってまいりました。山梨県においても、国民年金の方々が多数を占める中で、これから多床室を一つでも多く用意しておくということは、喫緊の課題だと思います。
その中で、市町村から上げられてくるデータの内容について、その御家庭でどういったタイプの特養に入りたいのか。あるいは金額的なものはどのくらいを希望するのかという細かいデータをいただけるような調査方法をいただけるように検討してください。
古屋福祉保健部長:
今、議員御指摘の点は、今後、第五期の介護保険事業計画の策定等に当たりまして、市町村から数字が上がってくるわけですけれども、それについて、それぞれ入所あるいは在宅、入所であれば、どういった方が希望されているのか。あるいは、在宅であれば、どういった方が在宅がふさわしいのかというようなことにつきまして、データを県のほうに上げてくるようにということかと思います。
今年度、次の第五期の介護保険事業計画の策定をしてまいりますので、市町村のほうにそういった、できるだけ詳細なデータをもって、整備量を上げてくるようにと、県のほうに御提出いただくように御指導申し上げたいと考えております。

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