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活動報告

平成26年12月定例会 一般質問・答弁

桜本:
私は、自民党・県民クラブの立場から、県政一般について、質問させていただきます。
私は、県議会の質問を通じ、これまで様々な改革や地域活性化策等について提案を行って参りました。 横内知事におかれましては、これを受け、返礼品見直しにより寄付が大きく伸びている「ふるさと納税」をはじめ、開国橋の渋滞対策や国道52号小笠原橋の整備、さらには旧免許センター跡地への防災備蓄倉庫の設置等々の取り組みを着実に進められ、深く敬意を表します。 私は、横内知事のこれまでの御労苦に心より感謝致しますとともに、私自身、県民の幸せのため、全身全霊で邁進し続けることをお誓い申し上げ、以下質問に入ります。

除雪体制の強化について

桜本:
本年2月、本県を襲った大雪では、高速道路を始めとする骨格道路が、次々に通行止めとなり、県全体が数日間孤立する事態となりました。県においても、委託業者による全力の除雪を行ったとはいえ、除雪体制について、課題が浮き彫りになったことは事実であります。
このため県では、国や高速道路会社、警察からなる連絡会議を設置し、関係機関との連携や相互の支援方法などについて検討を重ね、その成果を基に、先般、山梨県除排雪計画を策定いたしました。
この計画では、効率的かつ効果的に除雪を進めるため高速道路や国直轄の国道などを頂点とした、除雪優先路線が設定されています。
そこでまず、どのような考え方で、この除雪優先路線を設定したのか伺います。
また、県内各地で通行止めが発生するほどの積雪となった場合には、各道路管理者がそれぞれの管理範囲に縛られることなく、お互いに連携して除雪を行うことが必要となります。
そこで、豪雪時における道路管理者間で連携した除雪について、どのように進めるのか伺います。
県土整備部長:
まず、除雪優先路線につきましては、山梨県道路除排雪計画において、県外からの物資の輸送などの役割を担う高速道路や直轄国道等の骨格道路を、最優先に除雪するとともに、市町村役場、救急病院をはじめとする主要施設へのアクセスを確保するための道路を、優先的に除雪することとしております。
また、豪雪時における道路管理者間の連携につきましては、国や高速道路会社などと、除雪の進捗状況等の情報共有を図りながら、必要に応じて、相互の管理範囲を越えて除雪することにより、速やかに幹線道路における交通の確保を図って参ります。

消防団の充実強化について

桜本:
消防団は、地域に密着し、災害が発生した場合に地域で即時に対応することができる消防機関であります。
昨年12月に「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が施行され、消防団を「地域防災力の中核として欠くことのできない存在」と位置づけ、消防団員の処遇の改善や消防団の装備の改善を行うなど、消防団を強化し、地域防災力の充実強化を図ることなどが定められています。 
このため、国では、東日本大震災において、多数の消防団員が犠牲になったことを踏まえ、消防団員の安全確保のための安全靴等の装備の充実や、大規模災害に対応するためのチェーンソー等の救助活動用資機材の充実などを図ることとして「消防団の装備の基準」を改正するとともに、消防団の装備の充実が促進されるよう財政上の措置として地方交付税を大幅に増額したところであります。
そのような中、石川県では、市や町などが地域防災力の要である消防団員の安全装備品や消防団の救助資機材を整備する際に、補助対象となる額の3分の1について助成を行っております。
また、消防団の装備については、河川流域や山岳地帯などを抱えた地域と市街地とでは、必要とする装備の内容が異なることが想定されますので、「消防団の装備の基準」を踏まえながら、地域の実情に応じて必要な装備の充実を図るべきと考えます。
そこで、県では、消防団の充実強化、とりわけ消防団の装備の充実に今後どのように取り組まれていくのか伺います。
総務部長:
消防団は、地域に密着し、動員力と即応力に優れ、地域の安全確保のために果たす役割は極めて大きいことから、消防団の充実強化を図ることは重要な課題であります。
県では、消防団の充実強化を進めるため、県の広報媒体を活用し、消防団活動の紹介や入団の呼びかけを行うなど、消防団員の確保に向けた取り組みを行っています。
また、市町村の担当課長会議において、消防団活動に応じて適切な報酬や手当が支給されるよう要請を行うなど、消防団員の処遇改善を促しております。
一方、消防団の装備については、国の「消防団の装備の基準」で活動服や救助資機材等の装備内容が示されており、この基準を踏まえながら、消防団員の安全確保や救助活動の充実を図る必要があります。
また、災害時に安全かつ迅速に救助活動を行うためには、それぞれの地域の実情に応じた装備を配備しておくことも重要であります。
このため、国や他の都道府県の動向や市町村の装備の改善状況を踏まえながら、市町村に対して積極的に助言を行うなど、消防団の装備の充実強化が図られるよう取り組んで参りたいと考えております。

甲西工業団地の現状と活性化について

桜本:
南アルプス市にある甲西工業団地は、昭和52年に分譲が開始され、中央自動車道、国道52号を主要な道路として活用し、これまで、峡西地域の経済の発展に多大な貢献をしてきているところであります。
一方、分譲から既に37年を経過し、企業の事業内容も入居当初の機械電子産業を中心とした製造業から、敷地に太陽光パネルを設置する企業や産業廃棄物の処理業者が現れるなど、団地の景観も変化しております。
さらに、団地内の製造業の入居状況は、15社1組合と、この10年変化はないものの、従業者数は、この4年間で、約2,400人から300人程も減り、約2,100人となるなど、雇用の確保と地域経済に影響を与えております。
そこでまず、県として甲西工業団地の現状をどうとらえているか伺います。
一方、3年後には、団地内を南北に貫く中部横断自動車道が新東名高速道路と接続し、東海、中京圏等への輸送時間が大幅に短縮することから、甲西工業団地の立地環境が、格段に良くなるものと確信しております。
私は、こうした立地環境の向上をより一層生かし、入居している企業に発展してもらうためには、企業の実態やニーズを把握、分析し、それに的確に応えるとともに、企業の取引拡大のための支援を行うことが重要であると考えております。
そこで、甲西工業団地を活性化するために、県では、どのように考えているのか、御所見を伺います。
横内知事:
まず、団地の現状をどのようにとらえているかについてであります。
甲西工業団地につきましては、収益向上のため製造部門を海外に移転した例もありますが、パソコン用部品から成長分野であるスマートフォン向け電子部品の製造に事業を転換した企業や、団地の隣接地や県内の他の工業団地に用地を求め事業を拡大した企業があり、全体とすれば、入居企業の生産活動は堅調に推移しているととらえております。
次に、団地の活性化についてでありますが、東京や大阪の本社をはじめ、団地内の工場に足繁く企業訪問を行い、その要望に応えるとともに、工場の拡大や事業の高度化を図ろうとする企業に対しては、開発に係る許認可手続きの円滑化や産業集積促進助成金等による支援に、引き続きワンストップで対応して参ります。
今後、中部横断自動車道の開通による立地環境の向上を好機ととらえ、入居企業に東海・中京圏で開催される展示会やビジネスマツチングヘの出展を働きかけるなど、取引の拡大や販路開拓に結びつけていきたいと考えております。

南アルプスインターチェンジ周辺への物流施設の誘致について

桜本:
私は当選以来4回にわたり本会議において、南アルプスインターチェンジ周辺への物流施設の誘致について、様々な提案を行ってきました。
近年、我が国の物流産業は、アマゾンや楽天に代表されるインターネット通販の拡大、また、製造業や小売業における物流費合理化の加速など、物流革新とも言われる大きな潮流の中にあります。
この動きが最も顕著に表れているのが、圏央道沿線です。平成23年度以降、延べ床面積が約2万平方メートルから21万平方メートルを超えるものまで、計画中のものまで含めると、28棟もの大規模な物流施設が立地しています。
このように立地が相次ぐ大規模な物流施設を目の当たりにし、私は、物流産業に大いなる可能性を感じています。
従来の物流施設は、荷物を保管する倉庫であり、閑散とした空間を、トラックやフォークリフトが走り回っているイメージがありましたが、近年の物流施設、例えば、平成25年7月末に稼働したオフィス用品通販のアスクルの物流施設では、延べ床面積約7万2千平方メートルの施設に、約7万アイテムの商品が並び、注文に応じて、それらを仕分け梱包し、即日発送するといった業務に、約500人の従業員が雇用されています。相次ぐ事業所の撤退に伴う離職者や女性の就職先にもなり得ると考えます。
私は、中部横断自動車道が開通し中央自動車道と新東名高速道路が結ばれることにより、県内に新たな道路交通ネットワークが形成されようとしている今、地域発展のけん引役としての物流産業に大いに期待しています。 現在、高速道路と、民間の商業施設や物流施設などを直接連結して整備できる制度がありますが、これにより高速道路から一般道路に降りることなく、商品などの搬出入が可能となります。南アルプス市は、中部横断自動車道沿線に開発可能な土地が広がっていますので、この制度を活用した利便性の高い物流施設の立地は、十分に見込めると思います。
また、南アルプス市は、県内有数の農業生産地域でありますので、そこで生産された農産物を集荷、加工、出荷するような物流施設は、有望であることは明らかです。
県は、本年1月から、物流研究会において、物流施設の誘致の可能性について検討し、南アルプス市をはじめとする中部横断自動車道や新山梨環状道路の沿線などが適地であるとの結論を得たとのことですが、そのような結論に至った経緯を伺います。
また、その結論を受け、首都直下地震の影響が少ないこと、豊富な水資源、日本一の日照時間など本県が有する優位性を踏まえ、今後、県としては、どのように物流施設を誘致していくのか、御所見を伺います。
横内知事:
まず、第一の御質問は、物流対策研究会の結論に至った経緯についてであります。 県では、流通を専門とする大学教授や、物流実務を担う県内外の物流事業者、開発事業者の方々を委員とする物流対策研究会を設置し、本県が重点的に誘致すべき物流施設や適地について、本県の貨物流動量や交通ネットワーク、ハザードマップなどの状況の分析や市町村へのヒアリング調査を行い、検討をいただいて参りました。
その結果、中部横断自動車道により本県では西関東、静岡及び長野への迅速な配送が可能となることなどから、卸売業や小売業の広域配送を行う物流施設が誘致の可能性が高く、また、消費地への交通アクセスや労働力の確保、自然災害の発生状況などの立地条件から、南アルプス市東部や中央市、甲府市南部、上野原市や大月市などが適地であるとの報告を受けたところであります。
次に、今後の物流施設の誘致についてであります。
議員御指摘のとおり、本県は、首都直下地震の影響が少ないことをはじめ、交通アクセスの向上など、優位な点がありますので、物流施設の誘致に当たっては、これらをアピールするとともに、雇用創出奨励金等の支援制度も活用しながら、誘致の可能性が高い物流施設を立地に適した地域へ誘致すべく、活動を展開して参ります。
  更に、研究会からは、誘致への取り組みには、市町村との連携が必要不可欠との意見もいただいているため、今後、県と関係市町村との連絡会議を設置し、企業の動向等の情報共有を密にしながら、更なる連携強化を図り誘致に取り組んで参ります。

峡西地域のバス交通について

桜本:
本県では、マイカーの普及等に伴い路線バスの利用者が減少し、採算の悪化からバス路線の廃止や縮小が進み、県民の移動手段としてのバス交通の機能が衰退しつつあります。
私の住む南アルプス市でも、近年、バス路線の廃止や減便が相次いでおり、この4年間に、市内を通るバス路線のうち、芦安線や若草線、平岡あやめが丘線など、7つの路線で、合計72便も減少するなど、各地でバス路線が縮小し、たいへん不便な状況となっています。
また、一時は、バス事業者に代わり南アルプス市が、3本のコミュニティバス路線を運行しましたが、利用者の伸び悩みなどで、残念ながら廃止となってしまいました。
私のところには、住民の方から、「何の前触れもなく廃止された」「利用者は少なかったが、まさか廃止になるとは思わなかった」など、突然の廃止に戸惑う声が寄せられました。
住民生活に最も身近な市町村は、バスの利用者数や収支状況などの運行情報や「このまま利用者が少ないと路線が廃止される」といったメッセージを、常に住民に伝えておく必要があると考えます。
これまで本県では、マイカー依存を前提に、郊外に住む方が増加してきましたが、これから高齢化はますます進行し、それに伴い、身体機能の低下などにより免許証を返納せざるを得ない高齢者の増加が予想されることから、地域を走るバス交通は、今後、ますます重要になるものと思われます。
峡西地域のバス路線は、複数の市町村を経由して広域的に走る路線が多いため、バス路線が廃止されたり減便されたりすると、その影響は複数の市町村に及ぶことになります。
このため、県が責任を持って、市町村やバス事業者と連携し、地域住民の移動ニーズに合った対策を講じるなど、バス路線の維持確保に努めるべきと考えます。
そこで、県は、今後、当地域のバス交通ネットワーク確保に向け、どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
リニア交通局長:
地域におけるバス交通は、日常生活における重要な移動手段であり、これまで県では、広域的な移動手段を確保する観点から幹線バス路線を支援し、市町村は、住民の生活ニーズに対応する観点から、地域内の路線を支援するという役割分担を基本に、バス路線の維持確保に取り組んで参りました。
しかしながら、議員御指摘の南アルプス市をはじめとする甲府盆地南西地域においては近年、バス路線の廃止や減便が相次いでいることから、県では、関係市町やバス事業者等に呼びかけ、本年2月に、「甲府盆地南西地域バス路線検討会」を設置し、当該地域におけるバス交通の在り方等について検討を始めたところであります。 この検討会においては、
  • バス路線がない地域が拡大している
  • バス路線があっても、乗りたい時間帯に運行されていない
  • 利用者の減少に歯止めがかからず、路線維持のための市町村負担が増加している
といった課題が挙げられております。
今後は、こうした課題の解決に向け、住民の移動ニーズを十分に把握した上で、
  • 住民の希望を反映した運行ダイヤの設定や
  • 住民へのバス利用促進の呼びかけ 
など、市や町、バス事業者、地域住民等の関係者と一体となって、利用しやすいバス交通ネットワークが確保できるよう、取り組んで参りたいと考えております。

南アルプス市から生まれたスモモ新品種「皇寿」に代表される有望な品種の産地化について

桜本:
南アルプス市の落合地区から作出されたスモモの「貴陽」は、その大きさや優れた食味から、スモモのイメージを一変した稀代の品種です。しかし、現在では全国にその栽培が広がり、他県産の「貴陽」が市場に多く出回るようになり、原産地である本県の優位性が損なわれているのが非常に残念です。
このような中、近年、落合地区の篤農家が育成したスモモの新品種「皇寿」は、希少性が高く、スモモの生産量が少なくなる8月下旬に成熟期を迎える晩生種です。しかも、糖度が高く適度な酸味のある食味や、「貴陽」に匹敵する果実の大きさなど、高い品質を持ち、さらに結実は「貴陽」より良好とされる期待の品種です。
こうしたことから、JAこま野では、「皇寿」を地元ならではの特産品種として産地化を図るため、苗木を生産・販売する権利を育成者から取得して、当面は南アルプス市内の生産者に限定して苗木を販売し、南アルプスブランドとして普及させていく取り組みを進めています。
私は、果樹の産地づくりを進めるに当たっては、たとえ民間で育成された品種であっても、県内発で優れた特徴を持つ「皇寿」のような品種は、県外への流出を防ぐとともに、苗木の増殖を早急に進め、県内産地へ広く普及させることにより、早期に一定量を市場に供給し、本県の優位性が発揮できるようにしていくことが重要だと思います。
そこで、スモモをはじめ、本県産果実が外国産や他県産の果実との競争に打ち勝ち、全国に誇るトップランナーとしてリードし続けるため、「皇寿」に代表される有望な品種の普及と産地化を、県ではどのように進めていくのか伺います。
横内知事:
南アルプス市で産地化に取り組まれているスモモの皇寿は、県内篤農家が育成したモモの日川白鳳や、スモモの貴陽と同様に、本県を代表するブランド品種として、果樹王国やまなしの発展に寄与することが期待される重要な品種です。 
このような県内で独自に育成された有望な品種を県内果樹産地の競争力強化に生かすためには、まずは産地での囲い込みが重要であることから、育成者と苗木供給の在り方について合意を図るとともに、産地と協力して種苗法に基づく知的財産としての品種の保護に取り組む考えです。
また、有望な品種の早期産地化のためには、市場への安定供給が可能となるよう一定の品質と生産量の確保が不可欠であることから、県、JA、生産者などで構成する県オリジナル品種ブランド化推進会議において、品種の選定、苗木の一元的な増殖と供給、栽培管理の指導などに取り組んで参ります。
更には、果樹試験場における品種の育成や、県下の果樹農家が育てた有望な品種の掘り起こしに努めるとともに、国の果樹経営支援対策事業などを活用して新植を支援するなど、有望品種の普及と産地化を図って参ります。

企業や都市自治体をターゲットにした南アルプス市西部の農業基盤の整備について

桜本:
南アルプス市西部では、果樹や水稲を主体とした農業が盛んに行われており、特に塚原山周辺では、サクランボやリンゴなどのフルーツ狩りが体験できる観光農園が営まれ、シーズンを通じて多くの観光客で賑わっています。
また、中野・湯沢地区にある会員制の南アルプス・クラインガルテンは、主に東京圏の住民からの人気が非常に高く、付属する宿泊施設である30棟全てのラウベが埋まっており、今後さらに拡大していくことが期待されます。また、地元の農家にとっても、農作業のサポートを通じて、都市住民との交流活動が積極的に行われ、地域の活性化につながっています。
このような地元の方々の努力により支えられている地域の農業をより一層発展させていくためには、先ほどのスモモの新品種である「皇寿」などの産地化を図ったり、企業による農業参入や農業体験を通じた社員の福利厚生への活用など、外から新たな活力を積極的に導入することが有効です。
さらに、都市部の自治体と連携して、都市住民が農業を楽しむために、ある程度まとまった農地を提供し、借地料に加え、農地の管理経費等を負担してもらうような仕組みも取り入れていくべきです。
そのためには、企業や都市自治体に対して、この地域における農地活用を積極的に働きかけるとともに、こうした新たな使い手の具体的なニーズや、将来的な利用形態などを十分に汲み入れながら、基盤整備を着実に進めていく必要があります。
これらを踏まえ、南アルプス市西部において、現在、県が行っている基盤整備事業をどのように推進していくのかお伺いします。
横内知事:
県では、南アルプス市西部地域において、点在した耕作放棄地を計画的に解消し、意欲的な担い手に農地を集積するなど、地域の特色を生かした魅力的な農業の展開を図るため、平成25年度に農地環境整備事業に着手いたしました。
本年度までに、地元要望を踏まえ、かんがい施設や農道の整備、ニホンザルなどによる獣害を防止するための電気柵の設置を進めてきたところであり、明年度以降は、有望な新品種の産地化なども視野に入れ、ほ場整備を進めていくこととしております。
ほ場整備の実施に当たっては、整備後の土地利用に関する地域住民の話し合いに県も参画して、企業による農業参入や、都市住民との交流活動なども提案しながら、具体的な土地利用計画の策定を支援していきます。
更に、参入を希望する企業のニーズを取り入れた整備を行うなど、将来の利用形態にきめ細かく対応した基盤づくりを積極的に進めて参ります。

リニア中央新幹線沿線地域における住民の不安を踏まえた県の対応について

桜本:
本年10月に工事実施計画が認可されたことにより、11月に県内の10市町村でリニア中央新幹線の建設についての事業説明会が開催されました。
各会場では、地元の住民から騒音や振動などに対する様々な質問が出されましたが、これまでも私の元には、地元・南アルプス市の沿線住民から、リニア建設に対する不安や要望を訴える数々の声が寄せられています。
環境基準値を下回っていると言っても、沿線住民からすると、騒音や磁界などに対する不安を完全にぬぐい去ることはできません。
具体的には、JR東海が本線の両脇に幅4メートルで計画している緩衝帯をさらに広げ、側道を整備することにより、環境への不安を軽減して欲しいとの声や、日常生活で使用している地下水への影響を心配する声などがあります。
また、リニア本線により分断されてしまう地域では、いまと変わらない生活をおくることができるように、集団で移転をしたいという要望や、こうしたデメリットを克服しながら、開業によるプラス効果を受けられるよう、沿線住民の利便性向上を図るなど、地域活性化に取り組んで欲しいとの声もありました。
さらに、私も参加させていただきましたが、リニアのルートに当たる5つの自治会において、これまで自主的に3回の勉強会が開催され、各会場とも、大勢の住民から様々な意見がありました。
特に、学校教育に対して常日頃から協力的な地域がリニアで分断され、地域の将来を担う子どもたちの教育へ与える影響を懸念する学校関係者の声があり、私自身、改めて問題の大きさを認識させられました。
こういった沿線住民の声は、昨年開催された環境影響評価準備書の説明会においても聞かれましたが、工事実施計画が認可され、事業着手の段階となったことから、これまで以上に多くなったと感じます。
このように様々な不安や要望を抱えている沿線住民の理解を得るためには、子どもや孫がここに生まれて良かったと思える地域となるよう、しっかりと対策を講じていく必要があります。
こうしたことを踏まえ、私はこれまで、県議会の場で再三にわたり、この「沿線地域の活性化」について質問して参りましたが、この問題は、個々の市町村の力だけで解決していくことはとても困難です。やはり、沿線住民の不安や、地域を取り巻く様々な状況を十分に踏まえながら、県が主体的に対応していくことが必要だと思います。
また、これは、横内知事からバトンを受け取る次の知事に申し上げるべきこととは思いますが、こうした沿線地域の活性化について、例えば、県の次期総合計画などにしっかりと位置づけていくことにより、沿線住民の安心感にもつながっていくものと思います。
私は、そのためには、まずは、リニア沿線地域の活性化に関して、県庁内に部局横断的な組織を設置することなどにより、全庁が一丸となって取り組む体制を構築することが重要であると考えますが、御所見を伺います。
知事政策局長:
JR東海がこれまで実施してきた事業説明会において、沿線地域の皆様から、騒音や地下水など環境に対する不安の声や、地域の活性化等に対する要望などが寄せられたところであります。
このため県では、環境影響評価条例に基づき、知事の意見を述べるなどの機会を通じ、JR東海に対し事業が十分環境に配慮されたものとなるよう求め、環境保全措置の確保に取り組むこととしております。 また、リニア中央新幹線の開業を見据え、沿線地域を含め県全体でその効果を享受できるよう、昨年3月にリニア活用基本構想を策定したところであります。
今後は、この構想に沿って、各地域が工夫を凝らし、リニアの開業効果を観光や産業の振興などに最大限生かしながら、地域の活性化に取り組むことが大変重要となりますので、県としても引き続き、山梨県リニア建設推進本部の活用をはじめ、全庁一丸となった取り組みを進めるとともに、組織体制の在り方についても検討して参りたいと考えております。

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